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入れ歯について
一般的には歯は上下合わせて28本(親知らずを除きます)で規則正しく噛みあって並んでいます。
しかし歯を抜いてそのまま放置していると歯が抜けたスペースに、両隣や対顎の歯が移動してきます。
そして噛み合わせや歯並びのバランスが崩れ周囲の歯はお手入れが難しくなり、虫歯や歯周病になりやすくなり残っている歯の寿命は短くなります。
噛む力は大臼歯1本失っただけでも低下します。
片側の臼歯4本なくなった方は噛む機能の改善が必要です。
このような状態にならない為にも歯が抜けた場所には、そのままにせず、入れ歯、ブリッジまたはインプラントを入れておくことが必要です。
下顎の奥歯を1本抜けたまま放置しておくと、対顎の歯や両隣の歯が移動して(矢印)、歯並びが乱れてきます。
歯が移動したため、歯と歯の間に隙間が生じ、そこへ食べカスが挟まりやすくなり、食事のたびに不快になりますし、歯ぐきが腫れたり、虫歯になりやすくなります。(Ⓐ)
やがて欠損した部分の両隣の歯は徐々に傾き始めます。そして、清掃がうまくいかなくなり歯垢が沈着しますので歯周ポケットが形成され、細菌の繁殖が盛んになり、顎を支える骨の吸収がおこります。(Ⓑ)

下顎の奥歯を抜いたままにしていたため、上の奥歯が矢印の方向にのびてきました。
このままでは入れ歯やインプラントを入れてもうまく噛むことができませんので、黒いラインまで削らなければなりません。

歯を抜いたままにしていたため、奥の歯が斜めに傾いてきました。
上の歯も矢印の方向に下がってきました。
欠損補綴(歯を失った部分に歯を入れる方法のことをいいます)には入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類があります。
3者それぞれメリット、デメリットが有ります。
現在では欠損補綴の第1番手はインプラントといわれていますがこのような高齢社会では全身疾患や投薬状況さらにはお口の中の歯や顎の状態によりできるだけお体に負担をかけたくないという患者様にとっては入れ歯がおすすめです。


いわゆる片側性遊離破端欠損(片側の奥歯3本が欠損して、入れ歯を支える歯が片方失っているタイプの入れ歯です。
手前の歯に針金で入れ歯を安定させることは難しく、食事や会話の際に動きやすく、うまく噛みきれないことが難しくなります。
食事のたびに入れ歯を外して清掃しないと、入れ歯と歯ぐきの間に食物が溜まりやすくまた針金を支えている歯の周囲には歯垢が沈着しやすいため、口腔清掃を怠ると虫歯や歯周病になるリスクは高くなります。
入れ歯を安定させるためには、反対側に針金を追加する必要があります。(矢印の部分)
しかしその分入れ歯が大きくなるため、お口の中に入れた違和感は大ききなりますし、入れ歯による歯垢の沈着の度合いも広範囲に広がりますため、お口のお手入れだけでなく、毎日の入れ歯の清掃が大変重要となります。
入れ歯の種類
1総入れ歯(フルデンチャー)
自分の歯が1本も残っていない状態のため、歯ぐきに吸着させる床部分が大きくなります。
上顎では上あごをすべて覆うような形になり、下顎では舌が邪魔にならないようU字の形になっています。
入れ歯を支える歯がありませんので、歯ぐきにピッタリとフィットしていないと噛んだときに痛みが出たり、口内炎を生じます。
歯ぐきの形は少しずつ吸収し変化していきますので、定期検診にチェックしていくことが大切です。
入れ歯と歯ぐきの間が空いている状態のまま使用をし続けると、歯ぐきの吸収が大きくなり入れ歯の安定が悪くなります。
2部分入れ歯(パーシャルデンチャー)
歯が抜けた部分だけを補う入れ歯です。
失った歯の本数によって異なりますが、2~4本の歯に金属製のバネ(クラスプ)をかけて安定させるものです。
入れ歯(義歯)の材質の種類
1レジン床義歯
基本的には保険適用の入れ歯で、すべてプラスチックでできています。
費用の負担を抑えて作ることができます。
破損した場合には容易に修理が可能ですが、材質自体に強度が不足していますので、破折を繰り返すようなら新製することをお勧めします。

2金属床義歯
基本的には自費の入れ歯です。
コバルトクロムという材料を使用しています。
総入れ歯の場合、床の部分を金属で製作しますので、適合性に優れ、強度があり、割れにくく床の厚みを薄く大きさも小さくすることができますので、入れ歯に対する違和感を和らげることが可能です。
破損した場合には修理ができますが、レジン床義歯より時間と手間がかかる場合があります。
部分入れ歯は保険の場合より硬く、しっかりしていますので、お口の中に入れると安定感があります。
顎の骨があまりに吸収している総入れ歯の場合には、保険の入れ歯より重く、吸着を得ることが難しい場合があります。

3金属を使用しない義歯
いわゆるノンクラスプデンチャーにあたります。
熱可塑性ポリアミドという材質を使用しています。
自費扱いの義歯です。
お口を開いた時に金属が見えてしまう前歯・小臼歯(矢印の部分)に針金がかかりませんし、歯肉になじみますので自然で、見た目が気になる方に適してします。金属アレルギーのある方等にもお薦めです。
失った歯が多い場合にはうまく噛みきれない場合があります。
ノンクラスプデンチャーに使用している材料には多種あり、破損した場合に修理が困難な場合があります。
歯ぐきが痩せてきますと、針金を使用していませんので、適合が悪くなり、噛み合わせると入れ歯が沈みこみ、食事がし辛くなる場合があります。

◆以上のように保険適用の義歯と自費の義歯がありますが、両者にはそれぞれメリット、デメリットがあります。
患者様ごとお口の中はすべて異なりますので、必ずしも自費の義歯が優れているとは限りません。どのような義歯が適しているのか歯科医師とよく相談してするようにしましょう。
入れ歯
長所- 残った歯を削る必要がない。
入れ歯は残った歯に針金(クラスプ)をかけて維持させますので、歯が傾き針金がうまくかけることができないなど特別な場合を除いて、健康な歯をけずることはありません。 - 治療期間が短い。
入れ歯をかける歯に特に治療が必要ななければ、お口の型取りを行うだけで、入れ歯を入れることが可能です。 - 保険が適用できる。
金属床やノンクラスプデンチャーは除きます。
- ガタガタしやすく安定性に欠ける。
特に小さい入れ歯は容易にはずれやすく、高齢者の方は誤飲する可能性があります。 - 力を入れて強く噛むことが難しい。
入れ歯は歯ぐきや他の歯にかけたバネで人工歯を支えるため、自分の歯と同じ感覚でしっかり噛むことができません。 - 装着後の痛み。
装着後の調整に長い期間を費やしてしまうことがあります。 - 耐久性が欠ける。
金属疲労でバーやクラスプ、さらには床が折れることがあります。 - 見た目に劣る。
前歯の部分にバーがかかるとかなり目立ち、他の方との会話や食事に目立ってしまいます。 - 清掃が難しい。
清掃不良になると、残った歯が虫歯や歯周病になる可能性が高くなります。 - 味覚が鈍くなる。
入れ歯が大きくなると、味覚が鈍くなるだけでなく、発音、咀嚼、嚥下等お口の機能にも支障を生じることがでてきます。
当クリニックで扱っている入れ歯
- レジン床義歯
- 金属床義歯
- ノンクラスプデンチャー
- 磁性アタッチメントデンチャー
天然歯、またはインプラントに磁石を装着して義歯を安定させる方法です。
他の義歯と異なり維持力はありませんので、外しやすいことが特徴ですがしっかり噛もうとすると義歯の維持力がないため、思うように噛みきれない場合があります。
MRI検査を受ける場合には、磁石を取り外す必要があります。 - インプラントオーバーデンチャー
インプラントを4本埋入しそれを支えにした金属床の総入れ歯です。
維持力がありますので、上顎の部分(矢印)を小さくすることが可能です。
詳細はLOCATORオーバーデンチャーをご覧ください。
入れ歯の洗浄が不十分によるさまざまなリスク
入れ歯にも歯と同じように食べかすや歯垢が沈着します。
入れ歯も自分の体の一部分ですので、毎日のお手入れで常に清潔にしておくことが大切です。
- 義歯性の口内炎やカンジダ症を起こしやすくなります。
入れ歯に汚れが溜まると、細菌が繁殖して「義歯性口内炎」が発生しやすくなります。粘膜に炎症が起こりお口全体に腫れや痛みがでる場合もあります。
また入れ歯の汚れはカンジダ等の真菌(カビ)感染症を招く危険もあります。
カンジダ菌とは口腔内常在菌の一種ですが、免疫力の低下によって増殖してしまうことがあります。 - 他の歯が残っている場合には虫歯や歯周病の原因になります。
部分入れ歯の場合、入れ歯に付着している汚れは、残っている歯が虫歯や歯周病で失われてしまうリスクが高まります。 - 誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、お口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に気管に誤嚥され、これが原因で起こる肺炎をいいます。
入れ歯に汚れがたまっていると誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。 - 口臭が発生しやすくなります。
- 入れ歯に色素や歯石が沈着しやすくなります。
正しい入れ歯のお手入れの方法
1義歯専用ブラシで磨きましょう
食事をしたら、まず入れ歯を外してお口をゆすぎ、お口の中に溜まった食べかすを洗い流し、次に義歯専用ブラシを用いて入れ歯を磨きます。
注意点- 流水下で行う。
- ゴシゴシと力を入れすぎないようにします。
- 排水口に流したり、誤って落とすと割れてしまうことがあるので、洗面器など水を張り、手の平のうえで行いましょう。
汚れが残りやすい部分(クラスプ、歯と歯の間等)は丁寧に磨いてください。
2義歯洗浄剤で洗浄し、よく洗います
義歯専用ブラシでは落としきれない細菌や真菌を義歯洗浄剤で洗浄します。
注意点- 少なくても1日1回は義歯洗浄剤を使用しましょう。
- 就寝前は義歯専用剤を使用してお手入れしましょう。
3歯科医院で定期検診を受けましょう。
義歯の破損や歯ぐきに異常がないか定期的に歯科医院でチェックをしましょう。
頑固な汚れは歯科医院専用の超音波洗浄機で綺麗にしてもらいましょう。