再生療法

再生療法について

血液の組成

血液とは

  1. 体重の約8%を占めます。
    例えば体重約60kgの大人では4.5~5リットルあります。
  2. PHは7.4(弱アルカリ性)

血液の成分

成分 生成場所 働き
血漿
55%
総タンパク量    
▶アルブミン 肝臓 輸送タンパク
▶グロブリン    
α1グロブリン 肝臓 タンパク分解抑制
α2グロブリン 肝臓 ハプトグロビン
βグロブリン 肝臓 トランスフェリン
ɸフィブリノ‐ゲン 肝臓 血液凝固
γ-グロブリン 形質細胞 免疫グロブリン
血球
45%
赤血球 骨髄 酸素運搬
白血球 骨髄 生体防御
血小板 骨髄 1次止血 血液凝固

血液の働き( 運搬・調節・免疫・止血 )

1、ガスの運搬 酸素と二酸化炭素を運搬
2、栄養素の運搬 吸収された栄養素を肝臓へ運搬
3、ホルモンの運搬 アルブミンなどを運搬
4、排泄 老廃物を腎臓から排泄
5、体温の調節 熱を運搬、放出して体温を調節
6、酸・塩基平衡 体液のPHなどを一定に保つ
7、体液量の維持 アルブミンの水分保持力による
8、免疫の働き 抗体、貪食細胞により感染防御
9、凝固の働き 止血や血液凝固し出血を防ぐ

体内を日々休むことなく流れ続ける血液には
上記表のとおり酸素や栄養を体に隅々まで運搬したり
外部から侵入してくる病原体や細菌などから体を守り
さらには恒温動物である我々人間の体温を一定に保つなど
人間が生命を維持する上でさまざまな大切な役目を担っています。

インプラントの埋入部位は

  1. 歯周病のために大きく骨が吸収していたり
  2. 上の奥歯にインプラントを埋入しようとして骨の厚みが足りない

など様々な状況で骨の再生を行わないと
インプラントの埋入が不可能な場合があります。

従来は欠損した部分に人工骨のみ充填する方法が用いられてきました。

しかし症例によっては

  1. 術後の腫れや痛みが大きい
  2. 術後の骨の再生に時間がかかり、治療期間の延長が長引く

ことがありました。

当クリニックでは
この血液の優れた働きを活用し主にインプラント治療において
CGF(Concentrated Growth Factor)または
AFG(Autologous Fibrinogen Glue)という再生療法を行っています。

CGFとAFGの違い

採血した血液をガラスの試験管に入れるとゼリー状のCGFが生成されますが
プラスチックの試験管に入れるとゼリー状にならず液状のまま採取できます。
それを他のガラス容器に入れると数分後にゼリー状に変化してきます。
これはガラスの主成分である二酸化ケイ素(シリカ)と反応してこのような変化が現れます。
この現象を利用してゼリー状になる前にガラス容器に人工骨を混ぜておくと塊状になり、
通常は顆粒状の人工骨とは異なり大変操作性が向上します。
臨床ではゼリー状の塊を細かく切断して用いるか、または膜状に伸ばして使用する場合にCGFと呼び
人工骨を混ぜて用い場合にはAFGと呼んでいます。

採血した血液を試験管に入れて14分間遠心分離器にかけた後
このように血球と血漿に分離されます。
矢印の部分がCGFです。
滅菌済みのダッぺングラスに生成されたAFG

「この方法はインプラント治療だけでなく、歯周病治療においては骨の再生の促進や痛みの軽減のために
親知らずの抜歯では術後の腫れや痛みの軽減、治癒の促進のために利用できますが、自費扱いとなります。」
この種の方法には他に
PRP(Plated Rich Plasma)第一世代濃縮血小板や
PRF(Platelet Rich Fibirin)第二世代濃縮血小板などあります。
これらは添加物を加えることが必要となりますが、
少しずつ改良、改善が加えられ
CGF(Concentrated Growth Factors)が開発されました。
この方法の特徴は添加物(抗凝固剤や凝固促進剤など)一切加えず
すべて患者様ご自身の血液成分を利用するということです。
止血に重要な役割を果たしている血小板とフィブリン
この両者を遠心分離器を使い、濃縮したゼリー状の状態で抽出します。
当クリニックではより安全性を考慮しCGFを用いています。

使用する人工骨

人工骨には
吸収性人工骨と非吸収性人工骨の2種類があります。

  1. 吸収性人工骨
    骨の再生と同時に完全に吸収されます。
    この人工骨は骨の自然治癒が見込める部位に用います。
    どなたにも備わっている体の機能である自然治癒能力が見込める部位に入れておきます。
    具体的には骨の内側に使います。
    例えば抜歯窩など骨の再生には血液が必要で、その部分に血液が留まっていることが大切です。
    人工骨はいわゆるスポンジ(多孔性)の役目があり、
    周囲の血液を吸い上げて、血液が動かないような働きをしてくれます。
  2. 非吸収性人工骨
    骨が溶けずに残ります。
    この骨が骨の自然治癒が見込めない部位に用います。
    具体的には骨の厚みが足りない部分で、例えば骨の外側に使います。
    人工骨がハブとなりその周りに骨用組織が再生してきます。
  成分 当クリニックで使用している材料名 医療機器承認番号
吸収性人工骨 β-リン酸三カルシウム セラソルブM 22400BZX0002000
非吸収性人工骨 ウシ骨 バイオオス 22300BZI00026000

当クリニックは自家骨採取を行っておりませんし
他家骨を使用することはありません。

吸収性人工骨 セラソルブ
非吸収性人工骨 バイオオス

メリットとしては

  1. 腫れや痛みを軽減できる
    抜歯即時埋入インプラント手術にはメンブレン状にしたものを入れたり、
    親不知等の抜歯時にはゲル状のものを抜歯窩に使用することで腫れや痛みを抑え、止血効果が期待できます。
  2. 組織の再生を促進
    硬組織だけでなく、軟組織である歯周組織の再生または回復を促進します。
  3. 安全性が高い
    すべてご自身の血液のみですから、安心して使うことができます。

具体的な使用方法としては

  1. 骨補てん剤(人工骨)の代わりに、上顎洞内に充填します。
    万が一人工骨が上顎洞内に落ちると、吸収せず感染源となる可能性がありますが、
    CGFはシュナイダー膜が破れ上顎洞内に落ちても感染の心配がありません。
    上顎の奥歯にインプラントを埋入するためには上顎洞までの距離(矢印)が不足している場合には骨を再生する必要があります。
    歯肉を剥離切開しシュナイダー膜(上顎洞粘膜)を破かないようCGFを上顎洞内に填入しながら挙上し、インプラントを埋入します。
  2. 骨補てん剤(人工骨)と混ぜて、骨を増やしたいところに充填します。
    歯周病のため骨の一部分が吸収しています。(矢印)
    歯肉を剥離切開しインプラントを埋入後に骨の吸収している部分にAFGを填入し歯肉を縫合します。
    このように骨の幅を厚くする時には非吸収性の人工骨を使用します。
  3. 抜歯即時埋入時にインプラント窩に入れます。
    ゲル状のCGFを薄く伸ばしメンブレン状(膜状)に整形し、インプラント埋入後の歯肉の治癒促進に役立てます。
    さし歯の根の部分が破折し、その周りの骨が吸収しています。
    抜歯をして、インプラントを埋入後破折によって骨吸収している部分の骨の再生を促すためにAFGを用います。
    またインプラント周囲の歯肉の治癒の促進のためにメンブレン状(膜状)に整形したCGFで抜歯窩を封鎖します。
    この場合AFGに使用する人工骨は吸収性人工骨を使用します。

流れ

  1. 患者さんから採血した血液を、14分間遠心分離器(メディフュージ)にかけます。
  2. 血小板濃縮フィブリンゲルを試験管から取り出します。
  3. 再生治療に役立てます。
    必要に応じてゲル状のフィブリンを小さく成形したり滅菌ガーゼに包み血小板濃縮フィブリン液を絞り平たくつぶしてメンブレン状に成形します。